大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで運動の重要性を学びました

f:id:ohyachi-hp:20190802075859j:plain運動は認知症予防にどのような効果があるのか

「これをやったら認知症を予防できる」とはっきりと言えるものは今のところありません。

 

ただ、「運動」「栄養管理」「知的活動」「良質の睡眠」は認知症予防効果が高いことは確かなようです。その中でも、「運動」はとくに重要です。7月31日の軽度認知機能障害回復プログラムなつめでは「運動」についての大切さについての講話を行いました。

 

f:id:ohyachi-hp:20190802075922j:plain

運動は、

  • 適正体重を維持する
  • 糖尿病の予防
  • 慢性炎症の抑制
  • 血圧の改善
  • 血管の健康を維持する
  • ストレス緩和・気分の安定
  • 睡眠の質の改善

といった効果があり、それらすべてが認知症予防につながります。

 

では、どんな運動をどれくらいおこなったらよいのでしょうか。

 

運動には、「有酸素運動」「筋力トレーニング」「ストレッチ・軽体操」の3種類があります。どの運動要素も大切ですが、なつめのお勧めは

 

週6回の有酸素運動+週1回の筋力トレーニン

 

です。

 

有酸素運動は血流を良くし、生活習慣病を予防・改善する効果のほか、脳の中で新しい細胞が生まれる「神経細胞の新生」に大きな役割を果たしています。

 

有酸素運動を行うと、神経細胞の申請に必要な脳由来神経栄養因子(BDNF)の量が増えることがわかっています。有酸素運動を普段から行っている高齢者は心肺機能が高く保たれます。心肺機能の高い高齢者は脳の容量が良い状態で保たれ、有酸素運動をしない高齢者よりも認知機能が保たれていることがわかっています。

 

筋力トレーニングも重要です。フレイルは認知症を誘発しますが、筋力トレーニングを行い筋力を保っているとフレイルの予防につながります。筋肉を刺激することによって脳を刺激し、脳の委縮を防ぐ効果もあります。

 

実際に、太ももが太い高齢者ほど認知機能が保たれ、日常生活の自立度が高いという研究もあります。

 

有酸素運動はウォーキングがお勧めです。買い物など日常のスケジュールにうまく組み合わせると運動を継続しやすいかもしれません。

 

軽度認知機能障害回復プログラムなつめでは、ウォーキングシートを使って毎日の運動を記録していただいています。

 

筋力トレーニングは正しい姿勢で行わないと怪我をするリスクもあります。なつめでは必ず筋力トレーニングを行っています。なつめに通っていれば、週一度の筋力トレーニングもしっかりと行うことが出来るというわけです。

 

実践!コグニサイズ

f:id:ohyachi-hp:20190802075859j:plain

有酸素運動脳トレの効果を合わせた運動を「コグニサイズ」といいます。今回は、カラフルなラダーを使ってコグニサイズを実践してみました。

 

カラフルなラダーにはカラフルである理由があります。

 

「赤の時はラダーの外に足を出す」「青の時は手拍子」「黄色の時は黄色い果物の名前を言う」など、課題を変えて脳トレしながらラダーの上を歩いていきます。

 

デュアルタスク(複数課題)をこなすことで脳の活性化を図るのですが、タスクが4つにもなると講師も見本をちゃんと見せることが出来なくなります。

 

これくらい「難しい」と感じることをするのも、脳の活性化には大切なんですね。

 

軽度認知機能障害回復プログラムなつめは、札幌市厚別区にある医療法人重仁会大谷地病院で行っています。参加には物忘れ外来の受診が必要です。ご興味のある方は大谷地病院011-891-3737もしくはhttp://www.ohyachi-hp.or.jp/ninchisho-sc/index.htmlの相談フォームからご連絡ください。