臨床美術「ナスの量感画」の様子
お盆休みも終わった8月21日、軽度認知機能障害回復プログラムなつめでは臨床美術プログラム「ナスの量感画」を実施しました。
みなさん、ナスはお好きですか?
「ナス」と聞いて、どんな形を思い浮かべますか?
ナスって、いろんな種類があります。形もいろいろ。南のなすは大ぶりの物が多く、北に行くほど小ぶりになるのだそうです。北国は栽培期間が短いので、早くたくさんの実がなる小さな形の品種が主流になったようです。小さいなすは漬物向きなので、保存食が必要な北国の食事事情にもぴったり。
ナスをじっくり触ってみると、堅いクッションのような弾力があって、表面はビニールのようにつるつるしています。新鮮なナスはとげがありますよ。
色はどうでしょう。ナスは「ナス紺」という言葉があるように、深い美しい紫色をしています。この紫色は太陽の光によって色づきます。ナスの栽培環境によって、色の濃淡があるのはそのためです。へたとの境目など、色の薄いところの紫も美しいですよね。
割ってみると、ナスのみずみずしい香りがします。
そんなナスをオイルパステルで描いていきます。
これまでの人生で、ここまでナスを見つめた事があるでしょうか。
それくらいじっくりと見つめながら、ナスを描いていきます。ナスの色や形を忠実に再現する方もいれば、青や水色などイメージする色を重ねていく方もいます。表現の仕方は人それぞれです。
1時間ほどかけて出来上がった作品はとても素晴らしいものになりました。
ナスの量感画の認知症予防効果
ナスの量感画は、ナスをしっかりと五感で感じ、感じたものを表現します。
ナスに関する思い出や、料理のレパートリーも作品に影響するかもしれません。
目や手や鼻からの情報や、記憶からの情報などを手掛かりに「ナス」を描いていきます。ナスの色や艶、へたの形など、立体の野菜を平面の紙に表現するのはなかなか難しいものがあります。
ちょっと難しくて、ちょっと苦労して、とても楽しい。そんなプログラムになっています。
ナスを描きながら、感覚器からの刺激、記憶の想起、運動機能を使って描く事、空間認知機能を使って立体を平面の紙に構成する事。この楽しい時間に脳はとても大変な仕事をしています。
臨床美術の後は、「ちょっと疲れたけど心地よい。」という感覚が残ります。きっと、脳が楽しく大仕事を達成した喜びの感覚なのでしょう。