大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで臨床美術「さつまいもの量感画」を行いました

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さつまいもの量感画を描いているときの皆さんの様子

軽度認知機能障害なつめでは毎月芸術療法として臨床美術を行っています。

 

本日のなつめには3名の見学の方と3名の見学に付き添ってこられたご家族様などが酸化し、とても賑やかでした。せっかくなので、付添いのご家族様にもさつまいもの量感画を体験していただきました。

 

「絵を描く」と聞くとみなさん「えー、苦手!」と一様に不安な表情をされます。

 

これは学校教育で絵に点数をつけられていたためなのだそうです。臨床美術は、絵に対する苦手意識や描くことに対する不安感を飛び越え、絵を通じて自分を表現できるようプログラムが構成されています。

 

臨床美術が初めてだという皆さんも、あっという間に描くことに夢中になって行きました。付添いの方も、すっかり自分の時間に浸っておられました。

 

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どんな色を使えば皮の色が表現できるのか、表面のくぼみや色の変化を表現するにはどうしたらいいのか、試行錯誤してできた作品はどれもとても素晴らしいものです。

 

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同じ「さつまいも」を描いても、どれひとつ同じものはありません。

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みんなそれぞれ個性があって素敵ですね。

 

認知症予防と臨床美術

臨床美術は、昨年認知症予防学会で「認知症患者の認知機能を向上させる効果がある」「認知症患者のBPSDを改善する効果がある」と認定されています。

 

さつまいもの量感画では、サツマイモの皮の質感や色、中身の色や味・触感、においなどを感じ、得意料理などサツマイモに関する思い出を想起してから作品の制作に入ります。

 

食材としておなじみの存在を新たにとらえなおし、特徴を探して平面の中に立体の存在として表現します。その過程で、上手くいかないことや表現できないもどかしさを感じることもあります。

 

多少の困難を臨床美術士と一緒に乗り越えながら作品ができた時の喜びは何物にも代えがたいものです。

 

五感で感じること、記憶をたどること、制作するときの試行錯誤が認知機能を刺激します。そして、出来上がった作品に対する誇りが自己肯定感につながります。

 

認知機能が低下し、「できなくなった自分」を感じている方にとって、自己肯定感を得ることは安心感や希望をもたらします。

 

軽度認知機能障害回復プログラムなつめでは、臨床美術の他栄養や運動など認知症予防に良いとされるプログラムを行い、認知機能の改善を目指していくプログラムです。

 

札幌市厚別区にある医療法人重仁会大谷地病院で実施しているプログラムです。ご興味のある方は大谷地病院(011-891-3737)にお電話いただくか、大谷地病院HPにあるお問合せフォームからご連絡ください。

http://ohyachi-hp.or.jp/ninchisho-sc/