認知症予防とは?
軽度認知機能障害回復プログラムなつめは、軽度認知機能障害(MCI)の方の認知症発症・進行予防を目指していくプログラムです。
お陰様で、10月をもちまして定員を満たすことができました。
参加メンバーが揃ったところで、「認知症予防はどのように行ったらいいのか?」ということについて学んでいきました。
ただ、話を聞いているだけだと頭に入って行かないので、○×クイズ形式で行いました。皆さん、大きなリアクションでクイズに答えてくださいました。
認知症を必ず予防できる方法というのは、今のところありません。ただ、発症や進行を遅らせることができる可能性が高いということはかなり研究が進んできています。
こういったことを積極的に行っている方程、認知症を発症しにくいということが分かってきています。
認知症予防と生活習慣病の管理
認知症はある日突然発症するものではなく、様々な要因が重なり合って起こります。
英国の医学雑誌ランセットによると、遺伝子の要因もありますが、幼少期の低教育から始まり、中年期の肥満・高血圧・難聴、高齢期の喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・糖尿病といった要因が認知症の発症に関係します。
遺伝的な要因はどうしようもないのですが、それ以外の約半分の要因は自分の行動を変えるなど何らかの対処を行うことで改善できるものばかりです。
ランセットの認知症の要因にも上がっていますが、高血圧や糖尿病といった生活習慣病は認知症発症のリスクを高めます。
しかし、既に高血圧や糖尿病になってしまった方でも、症状をしっかりとコントロールすることによって、認知症の発症リスクを下げることができます。
認知症予防と運動
運動は生活習慣病の改善に役立つなど、様々な要因で認知症予防に貢献します。
中でも、最も注目されているのが、神経栄養因子(BDNF)という存在です。
成人になっても、たとえ高齢者でも、海馬や前頭葉周辺に日々新しい細胞が生まれているということが分かっています。
この新しい脳細胞が誕生するに当たり、重要な役割を果たしているのが神経栄養因子(BDNF)です。運動を行うと、神経栄養因子(BDNF)の分泌量が増え、新しい脳細胞が生まれるのを助けることが分かっています。有酸素運動などの運動を定期的に行っていると、海馬の容量が増えるということが分かっています。
運動する習慣が無い高齢者の方も、積極的に運動を行うことで認知症の発症を遠ざけることができる可能性が増えるのです。
認知症予防と栄養バランス
これを食べると認知症を予防できるという栄養素はまだ発見されていません。ただ、DHAやオリーブオイル、ポリフェノールなど認知症予防効果があるのでは、と研究が進んでいる食材はたくさんあります。
重要なのは栄養のバランスです。認知症予防効果の高い食材を上手く組み合わせて栄養バランスが良い、「認知症予防効果がある食事」として注目されているのが「地中海料理」「MIND食」「和食」です。和食と言っても、現在の日本食は欧米化が進んでいますから、少し前の時代である1970年代の「一汁三菜」を基本とした日本食が良いとされています。
たくさんの食材を取り入れながら、おいしく楽しく食事をいただくということが大切ですね。
認知症予防と睡眠
睡眠が健康に取ってとても重要な役割を果たすということが最近の研究で明らかになっています。
認知症予防にとって重要なのは、睡眠中に行われる「脳内の掃除」です。深いノンレム睡眠中、脳細胞やグリア細胞が縮み、その隙間を脳脊髄液が満たし、アルツハイマー病の原因物質アミロイドβなど、認知症に関連する不要な物質を洗い流してくれるのです。
高齢者は睡眠の質が悪くなりがちです。また、高齢者は睡眠時無呼吸症候群にもなりやすいことが分かっています。
朝起きたらすぐに朝日などの光を浴び、日中は活動的に過ごすなど、睡眠の質を上げる生活を送りましょう。
もし、日中の眠気が強いという方がいたら、知らず知らずのうちに睡眠時無呼吸症候群になっているかもしれません。睡眠外来などで検査をすることをおすすめします。
認知症予防と脳トレ
脳内に新しい細胞が生まれても、役割が与えられなければ消滅してしまいます。脳トレは新しい細胞を含め脳細胞同士のネットワークを増やすために必要不可欠です。
脳トレと聞くと、クロスワードパズルなどを連想します。そういったドリルを行うことも悪いことではないのですが、身体や指先を使った趣味活動の方が効果的です。
できれば、複数の方と楽しく行えるような新しい趣味を開拓することをおすすめします。