大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめでコグニサイズを実施しました

f:id:ohyachi-hp:20191117080514j:plain

コグニサイズとは

11月13日の軽度認知機能障害回復プログラムなつめは、運動プログラムを行いました。いつもの本山式筋力トレーニングに加え、コグニサイズやシナプソロジーを約90分間みっちりと行いました。

 

運動は認知症予防に欠かせない要素です。運動をすることによって生活習慣病をコントロールできるなど身体の健康を維持する効果が認知症予防に繋がります。

 

それに加え、有酸素運動を行うとBDMF(脳由来神経栄養因子)という物質が増え、脳細胞が新しく生まれるのを助けます。太ももの周径が大きい人ほど脳の容量が大きいことがわかっています。

 

ただ、既に脳細胞の減少が起こり、認知機能の低下が現れている軽度認知機能障害(MCI)や軽度認知症の方には、運動だけでは認知機能の改善効果があまり期待できないこともわかってきました。

 

コグニサイズは、有酸素運動を行いながら脳トレを行う運動です。身体とアタマを一度に動かすのです。

 

コグニサイズを一定期間行うと、軽度認知機能障害(MCI)の方でも認知機能の改善効果があったという研究が先の認知症予防学会で発表されていました。

 

有酸素運動によって新しい細胞が生まれても、その細胞を働かせることが出来なければ細胞は委縮し、いずれ消えてしまいます。ウォーキングだけではなく、競技やダンスなど運動をしながら動作を覚えるなど認知機能を使うことが、認知機能の改善につながるといわれています。

 

コグニサイズも運動をしながら認知機能を使うので、認知機能の改善につながると考えられます。新しい競技やダンスを覚えることは確かに楽しく、おすすめの認知症予防活動なのですが、習い事を始めるのは高齢者には中々ハードルが高い事です。

 

コグニサイズのようにウォーキングをしながら計算をするなど脳トレを行うのであれば、いつでも思いついたときにできますし、お金もかかりません。

 

コグニサイズを行っている軽度認知機能障害回復プログラムなつめの皆さんの様子

f:id:ohyachi-hp:20191024092805j:plain



本日のコグニサイズは、円になって足踏みをしながら1~30まで数を数えるという動作を基本に課題を変えていきました。

 

「3の倍数の時に数字を言わず手を叩く」「3の倍数の時に数字ではなく野菜の名前を言う」「3の倍数の時に数字ではなく都道府県名を言う」という課題を行いました。

 

数字を覚えておきながら課題に沿った言葉を考えることで、言葉がスラスラ出てくるために必要な「言語流暢性」と、物事を行うときにいくつかのことを同時進行で考えるのに必要な「ワーキングメモリー」を鍛える課題です。

 

課題が変わると、自然とゆっくりとしたペースで進むようになります。そして、足踏みを忘れてしまうこともしばしば。

 

お互いに「次は野菜の名前を言うんだよ。」「次は17よ。」と助け合いながら和気あいあいとコグニサイズを行っていました。

 

頭と体をしっかりと使ったせいか、昼食がいつにもましておいしく感じましたね。