大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで臨床美術「紙素材で作る立体 筍」を実施しました

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北海道にはなじみの無い「筍」

軽度認知機能障害回復プログラムなつめはゴールデンウィークが水曜日を直撃し、2回続けてお休みでした。その上、新型コロナウイルスの影響で札幌市はまだ緊急事態宣言が続いています。久しぶりのなつめは、いつもの約半分の方だけの出席と、ちょっと寂しい開催となりました。

久しぶりのなつめは、臨床美術を行いました。

モチーフは筍です。
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本州ではおなじみの孟宗筍。生まれも育ちも北海道というなつめの皆さんは初めて見たのだそうです。そこで、筍の説明から始まりました。

孟宗筍は桜が咲く頃に芽吹き、一晩でグーンと大きくなって、あっという間に竹に成長します。という話を写真を見せながら説明させていただくと、「ほおー!!」と驚く皆さん。竹藪も実際に見たことがなく写真を見て「綺麗!!」と感嘆の声をあげていました。

筍への関心が高まったところで、制作に入ります。

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今回は絵ではなく、立体の作品です。最初はおっかなびっくりでしたが、筍を観察しながらも、どんどんイマジネーションを広げていきました。

出来た作品がこちらです。
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なんとも、カラフルで素敵な筍たちが出来上がりました。

カラフルでおしゃれな筍ですが、モデルの筍を並べるとやっぱり似ていますね。

臨床美術には立体の作品作りもあります

臨床美術は平面作品だけではなく、今回の作品のような立体の作品作りのプログラムもあります。

モチーフの感触をダイレクトに感じながら、色々な角度から作品を構成して、細かく手を動かしながら作品を作っていく。

立体の作品には平面の作品とはまた違う認知機能への働きかけが出来ます。

一見立体の作品の方が難しいように感じますが、作り始めると「私下手だわー。」という嘆きの声が聞こえてこず、すーっと作品の世界に没頭できるような気がします。もともと臨床美術は作品に「上手・下手」という評価はしないのですが、どうしても制作した本人が「上手くいかない」と感じると「下手だから。」「美術のセンスがないから。」と自己嫌悪に陥ることが多いようです。

今回の筍は、本物の形からかなり外れたものに仕上がる所が素晴らしいので、「下手だわー。」と自己嫌悪に陥る方はいませんでした。皆さん、自分の作品にとても満足して大事に春の味覚(食べられませんが)をお持ち帰りになりました。