大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめでコーディネーショントレーニングを実施しました

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コーディネーショントレーニングとは

コーディネーション能力という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

 

 

コーディネーション能力は「体を巧みに動かす能力」と言い換えることが出来ます。その場の状況に合わせた最適な動作をスムーズに動かす能力です。この「体を巧みに動かす能力」をトレーニングするのが「コーディネーショントレーニング」です。

 

コーディネーショントレーニングはもともと子供の運動能力を伸ばすために開発されたようです。

 

子供は発達段階に合わせて体を使った遊びから自然にコーディネーション能力を発達させていきます。しかし、現代の子供はダイナミックに体を使って遊ぶ経験がとても少なくなっています。

 

結果的に不器用であったり、体を使うことが苦手な子供が増えているのです。

 

基本的な経験不足の子供は、「運動神経が悪い」というだけではなく、あらゆる脳機能の発達に悪い影響が出てくるのです。

 

コーディネーショントレーニングには次の要素があります。

・リズム能力
   イメージ通りの身体表現を可能にする能力。人の動きの真似をする、リズムに合わせて身体を動かす能力。
連結能力
   身体の様々な部位を同時に思い通りに動かすことができる。又は、2つ以上の動作を同時に行う能力。
変換能力
   状況に応じて身体の動きを切り換えることを可能にする能力。
反応能力
   合図などに素早く正確に対処できる能力。
分化能力
   用具や道具など最適な力で操作できる能力。
・バランス能力
   身体の体勢が崩れても動作やプレーを可能にする能力
定位能力
   自分と相手や物との位置関係や距離感覚を正確につかむことを可能にする能力。
 
コーディネーショントレーニングは子供だけではなく高齢者にとっても体と脳を鍛えることができるトレーニングです。ただ、そのまま高齢者に当てはめてしまうと転倒などけがの危険性があるので高齢者の能力に合わせてアレンジする必要があります。

なつめでのコーディネーショントレーニン

なつめでは、コーディネーショントレーニングとシナプソロジーを組み合わせた「全身じゃんけん」と、体の動きをマネする「鏡じゃないまねっこ」、棒を使ったトレーニングや棒風船バレーを行いました。

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棒を使って輪を渡しています。利き手では割と簡単にできますが、利き手でないほうの手だと案外難しいのです。

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棒を使った風船バレーは思わず立ち上がってしまうほど白熱しました。時々風船を増やして注意分割機能も鍛えます。

 

いつもはコグニサイズやシナプソロジーを取り入れた脳トレ運動を行っていますが、あえて混乱するくらいの課題をやってもらうので「難しかった」「できなかった」という気持ちが残りやすいのです。

 

コーディネーショントレーニングはダイナミックに体を動かしながら楽しんで行え、しっかりと認知機能に働きかけることが出来そうです。

 

軽度認知機能障害回復プログラムなつめは月に一度脳トレ運動を行っていますが、コーディネーショントレーニングなど運動のバリエーションを積極的に増やしていきたいと思います。