大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで「認知症の予防と栄養」のお話をしました

認知症の予防と栄養

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「栄養」と認知症は関係あるのでしょうか?

認知症予防と聞くとまず一番に出てくるのは「脳トレ」ではないかと思います。

ですが栄養素の摂取と認知症の研究も多くされており、日本で有名な久山町研究でもいろんな論文が発表されています。

2019年に出たWHOの「認知症の予防のためのガイドライン」でも「栄養の介入」と明確に記載されているとおり、日々の栄養摂取は非常に重要です。

 

何度も書いているように、私たちは日々食事から栄養を取り入れ生きています。つまり体に必要な栄養素をまんべんなく摂ることが大事で、それは離乳食が始まったころからずーっとずーっと、少なくとも腸から栄養を取り入れている限り続いていきます。なのでまずは何をどのくらい食べたら良いかを知ることが第一歩です。

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なつめの皆さんには日々、生活の記録を書いて頂いています。

朝昼晩の食事は何を食べたかな?そして写真に載っている「10食品群チェック」にどのくらい○がついたかを見て、自分の食事について知ってもらいます。

「食品の多様性」が重要です。食品の多様性がある者は、ない者と比較し認知機能低下が低かったという研究結果があります。そして10食品群の中の5項目がたんぱく質食品であり、フレイル予防のためにもたんぱく質の食品をしっかり食べることも大切です。

 

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主食(ごはん)は握りこぶし「グー」が1つ分、主菜(たんぱく質食品)は手のひら1つ分、そして副菜(野菜、きのこ、海藻類)は両手1つ分が1食に必要な量!

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その他1日の中で乳製品は牛乳コップ1杯分、果物は親指と人差し指のわっこの中におさまる量…と、自分の手ではかると何をどのくらい食べたら良いかがすぐにわかります。

 

なつめが始まり1年以上経過しますが、なつめの皆さんは本当に熱心に実践されています。80代後半の方でも少しずつ気を付けしっかりと食べるようになり、サービスケア会議でも話題になったほどです。

 

1食1食が難しい場合は、1日や1週間の中でどのくらい食べるかを考えて実践されるのも良いかと思います。作るのが大変であれば、買ってきたものでも良いです。お弁当やお惣菜が主食、主菜、副菜のどれに当てはまるかを考え、野菜が少なければ+1品・・・という考え方で実践すると良いと思います。

レトルト食品なども上手に取り入れながら日々の食生活を豊かにしていただきたいと思います。