大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで運動プログラムフルコースを行いました

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運動プログラムフルコースとは

軽度認知機能障害回復プログラムなつめでは、毎月第2水曜日が運動プログラムの日となっています。

 

毎週必ず行う「本山式筋力トレーニング」の他に、様々な運動を行い、身体活動を使った認知症予防を行っています。

 

認知症予防の運動というとデュアルタスクを使った「シナプソロジー」や「コグニサイズ」が有名です。あとは、有酸素運動がいいという研究結果が出ています。

 

なつめでも、シナプソロジーやコグニサイズを組み合わせて行っていましたが、「認知症予防に効果がある運動負荷は?」という疑問を持っていました。また、本山式筋力トレーニングやコーディネーションなど、もっといろいろな方面から認知症予防の運動プログラムを組み立てられるのではないかと考えるようになりました。

 

今のところですが、認知症予防に効果がある運動プログラムは以下のようなものがあるのではないかと思っています。

 

  1. 有酸素運動生活習慣病予防やBDMF生産促進
  2. コンディショニング:関節や筋肉を整えることでけがを予防し、日常生活で筋肉から脳への感覚神経の刺激を促進する
  3. 筋力トレーニング:筋肉からの感覚神経の刺激によって脳を活性化する
  4. デュアルタスク運動:運動野と他の認知機能をつかさどる部位を同時に刺激することにより脳を活性化させる
  5. コーディネーション:様々な運動の組み合わせを行う事で広範囲に脳を活性化させる

 

この5つの要素を組み合わせながら、運動負荷も適度にあり、「楽しい」と感じられるプログラムを組み立ててみました。

 

名付けて「運動プログラムフルコース」です。

 

 1.コーディネーション

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「関節の位置を正しい位置に戻す」という目的で、ドローインとストレッチを組み合わせた運動を行いました。「ゼロポジション」や「あへあほ体操」を参考にさせていただいています。

 

本格的に運動を行う前に、体を整えておくということは、怪我の予防になりますし、これから行う運動の感覚器からの刺激が入りやすくなるのではないかと思っています。

 

2.筋力トレーニン

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なつめではおなじみの「本山式筋力トレーニング」を行いました。

 

筋肉を意識しながら自重トレーニングを行い、筋肉からの フィードバックを痛みとして感じることで、脳と感覚神経のつながりを強化します。

 

認知機能が衰えると、感覚神経からのフィードバックがつながりにくくなります。認知症の方が道に迷って、すごく遠くまで平気で行けてしまうのは筋肉からの痛みや疲れを感じられなくなっているからです。

 

コンディショニングを先に行うと、いつもよりもしっかりと負荷がかかっているように感じます。

 

3.デュアルタスク運動+有酸素運動

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シナプソロジーを使ってデュアルタスク運動を行います。

 

この時、出来るだけ大きな動きを取り入れることで心拍を上げ、有酸素運動ゾーンまでもっていくことを目指しています。

 

高齢者のグループでは安全に負荷が高い運動を行うのはなかなか難しく、有酸素運動を効果的な量行うのは困難なのかな、と思っています。なつめでは、関節に疾患を抱えている方がいるので運動負荷よりは認知機能に働きかける要素を重視することが多いです。

 

その分、有酸素運動は自宅で行っていただくよう、ウォーキングシートをお渡ししています。

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一日2㎞歩くと想定し、宗谷岬を目指していくように作っています。目的地に到着した方には表彰状をお渡ししています。

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4.コーディネーション

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ゲーム性のある運動を使ってコーディネーショントレーニングを行います。様々な動きを滑らかに行うトレーニングがコーディネーショントレーニングです。

 

道具を使ってゲームをすると、楽しくコーディネーショントレーニングを行う事ができます。道具のコントロールをいかにうまく行う事がゲームの勝敗を分けますし、勝敗がかかっている中で「立ち上がらない」などルールに沿って欲求をコントロールすることもコーディネーショントレーニングの重要な要素になります。

 

何より、「楽しい」ことが大切。

 

笑いは記憶力や思考力を向上させ、脳の血流を増やすほか、免疫機能を活性化させたり血糖値を下げたりと健康に良い効果を与えます。

 

今後は運動プログラムフルコースのメニューをどんどん増やしていきたいと思っています。