大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで臨床美術「いろいろな線と色で遊ぼう」を実施しました。

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臨床美術「いろいろな線と色で遊ぼう」

なつめでは毎月第一水曜日に臨床美術を行っています。今回はモチーフが無いプログラム「いろいろな線と色で遊ぼう」を実施しました。

 

「いろいろな線と色で遊ぼう」は、臨床美術のシンボル的な画材「オイルパステル」の様々な使い方や、混色で生まれる表現を体験しながら作品を作ることが出来るプログラムです。

 

ワークショップなどで臨床美術を体験して頂くときによく用いられるプログラムでもあります。

 

今回このプログラムを選択したのには理由がありました。

 

臨床美術を毎月行っていると、絵を描くことに対する抵抗感は薄くなっていく方がほとんど。でも、中には「下手だから。」「苦手だから。」という苦手意識が根強く残ってしまう方がいるのです。 

 

「いろいろな線と色で遊ぼう」には、「上手」と「下手」がありません。モチーフがなく、感性の赴くままオイルパステルの線や色を紙に乗せ、混色して新しい色を作り上げたり削り取ったりして世界にたった一つの絵を描いていきます。

 

最初は皆同じ色の線を描いていくのですが、いつの間にか全く違う表現になっていきます。

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どんどん色を重ねていくように伝えるのですが、「わたしはごてごてしたのは好きじゃないの。」と控えめに色を塗っている方が居ました。

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いつも「私は絵を描くのが苦手なの。上手くいかなかった。」という方です。

 

「好きな色を塗ってください。どこに塗ってもいいです。」と言われても、どこに何色を塗ったらいいのか困惑している様子でした。

 

戸惑いながらも「私はごてごてしたものは嫌。」という意思はしっかりと持っていました。

 

出来上がったのは、優しい印象の絵です。くっきりと濃い青のフレームで飾ると、更に優しい風合いが際立ちました。

 

今回もやはり、「うまくいかなかった。」という気持ちが残ってしまったようですが・・・。

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鑑賞会でみんなから「素敵!」と褒められ、照れ笑いを浮かべていました。

 

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どの作品も、個性的で素敵ですね。