大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで「筋力アップのために必要な栄養素を知ろう!」というお話をしました

「フレイル」という言葉を知っていますか?

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雪景色の札幌です。今シーズンは雪が降らないなぁと思っていたら、やっぱり帳尻があってきました。前日に暴風雪となった札幌、次の日のなつめは大丈夫かしら?と心配していましたが、この日も皆さん元気に集まって頂きました!

 

さて、フレイルという言葉を知っていますか?このブログでも何度か記事にしていますが、フレイルとは、「健康な状態と要介護の状態の間」を指し、筋力などの身体機能や、認知機能が低下している「虚弱」の状態を言います。

フレイルは大きく3つの要素があります。

1.身体的フレイル→筋力の低下、口腔機能の低下、低栄養

2.精神・心理的フレイル→認知機能の低下、うつ、やる気がおきない、元気がない

3.社会的フレイル→閉じこもり、孤立など人とのつながりの減少

加齢と共に筋力は低下します。「年のせい」と放っておくとやがて介護が必要な状態に陥るため、今のうちに予防・改善することが重要です。

しかしコロナ禍の今、日本ではフレイルの増加が問題視されています。

自粛生活で外出する頻度が減り、閉じこもるようになると筋肉の質や量が減ります。人との会話が減り、さらに買い物の頻度が減るとあるもので食べることが増え「低栄養」に陥り元気がなくなり・・・

さらにフレイルや低栄養は免疫力が低下しますので、万一コロナウイルスなどの感染症に罹患すると重症化しやすくなるのです。

 

また、フレイルに陥ると認知症発症の可能性がぐんと高まります。今、この状況だからこそ、フレイルを防がなければならないのです。

 

 

フレイルはどこから始まると言われているでしょうか?

皆さん「頭」「足」と回答されましたが答えは…「口」です!

口腔機能の衰えが、フレイルの始まりと言われています。皆さん「え⁈」とびっくりされていました。

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咀嚼力をチェックするガムがあるので皆でチェックしてみました。はじめは緑色をしていますが、かむ力が強いほど、ピンク色が濃くなります。

またオーラルフレイルや、フレイルの簡単なチェックもしました。皆さん、あてはまるところがあるようです。

 

フレイルを予防するためには

では、フレイルを予防するためにはどうしたら良いでしょうか?

 

まずは運動です。天気の良い日はしっかりと感染症予防をした上で、密を避けながら散歩するのが良いでしょう。また外に出れない場合は自宅でこまめに動く、ラジオ体操をする、スクワットや片足立ちなど、出来る範囲で動くようにします。

 

それから栄養です。

しっかりと食べること。その中で筋肉のもとになる「たんぱく質」の多い食品を積極的に摂りましょう。

たんぱく質の食品は肉、魚、卵、豆腐や納豆などの大豆製品、それから乳製品です。これらは「主菜」になることが多いので、メインのおかずを用意すると良いでしょう。菓子パンで済ませず、サンドイッチと牛乳にするとか、インスタントラーメンの中に卵を入れるとか、納豆や魚の缶詰を常備しておくなど、少しだけ工夫すると簡単に食べることができます。

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たんぱく質の食べ物の目安量は指を含まない手のひら1つ分が、1回の食事に入っていると良いです。魚は切り身1枚分、卵は1~2個など、この手の平を目安に考えます。

また、筋肉の増強をサポートするにはビタミンDが必要です。鮭やキノコに多く含まれます。日光浴すると体内でビタミンDが作られるので前述したように天気の良い日に陽の光を浴びながら歩くことは一石二鳥です!

 

そして、人とのつながりです。

会話を増やすために、ご家族と電話をする、地域間で支え合うなど、つながることがフレイルを予防します。お友達やご家族同士で定期的に連絡を取り合うことが大切です。

 

コロナ禍だからとあきらめず、今できることをしっかりと。元気な未来が待っていますよ。

来週のなつめでは、たんぱく質が摂れる調理実習を予定しています!