大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

認知症予防サークル「わっこ」で宝石石けんを作りました

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宝石石けんを作っているわっこの皆さんの様子

5月30日のわっこは、最近人気の「宝石石けん」を作りました。

宝石石けんというのは、グリセリンソープを溶かし、色付けをして固めなおし、宝石のようにカットして作る石けんです。最近密かなブームなんですよ。

とはいえ、「宝石石けん」というものがあまりピンと来ないのか、いつもよりも参加者が少なく(7名でした)、来場した皆さんも「今日はなに?」「なんだかわからないけど楽しそうだから来たよ。」という感じでした。

スタッフが用意した見本を見てやっと、イメージが付いたようです。実物の見本や写真を見て「綺麗!」と歓声を上げていました。

宝石石けんはいろんな作り方がありますが、今回は小さな石けんのかたまりを何色か用意し、組み合わせて固める方法にしました。

どんな色にするのかは、みんなで相談して決めました。赤・ピンク・黄色・オレンジ・緑・エメラルドグリーン・青の7色を、赤・青・黄・緑の食紅を使って作っていきます。食紅の量や配合も相談して決めて行きました。

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グリセリンソープも、ベテラン主婦にかかるとお豆腐のようですね。

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お皿に乗った色とりどりのグリセリンソープ、「たくあんみたいだね。」というご意見もさすが主婦目線。「何色にしようかなー。」と悩みながらコップにソープを入れて行きました。


固まったソープをコップから取り出した時はあまりにも綺麗で歓声が上がりました。それぞれとてもきれいな宝石石けんの原石が出てきました。でも、宝石石けんはこれからが大切な工程です。包丁で、宝石に見えるようにカットしていきます。このカットしているときも「ジャガイモの面取りするみたい。」「私のは大根だわ。」「私のはサトイモ!」と主婦らしい会話が飛び出しました。

さて、出来上がった宝石たちを窓際に並べての観賞会です。

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青色をふんだんに使ったり、ピンク色をベースにしていたり、それぞれ皆さん個性的な作品です。

「この緑がいいよねー!」とお互いの作品のよいところをみつけるのも褒めるのも皆さんとてもお上手です。普段から、相手の良いところを見つけるのがきっとお上手なんでしょうね!

初めての宝石石けんづくりでしたが、「今日は本当に楽しかったー!!」と皆さんとても素敵な笑顔を見せてくださいました!

宝石石けんの作り方

宝石石けんは、いろんな作り方がありますが、今回わっこで作った作り方をご紹介しておきます。

材料:グリセリンソープ・食紅

作り方
1 グリセリンソープを細かく切って耐熱皿に入れ、ホットプレートで溶かす。(電子レンジでも湯煎でもOK)
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2 食紅を入れてよく混ぜ、固まるのを待つ。
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3 固まったら細かく刻む
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4 透明のプラスチックのコップに入れる
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5 グリセリンソープを溶かしコップに注ぎいれる。コップを水に浸すと10分くらいで固まる。
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6 コップの底に穴をあけぷっちんプリンの要領で取り出す。
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7 宝石のようにカットする。まず2分割にするとイメージがつきやすい。
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宝石石けんの認知症予防効果

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宝石石けんづくりをなぜ認知症予防教室でやるのか?

・・・実は、「楽しければなんでも認知症予防になる!」とわっこ担当の認知症予防専門士は考えております。

わくわくする気持ちになると、脳は活性化しますし、「楽しそう!」という好奇心は行動することに繋がります。行動すれば、頭も体も動かします。人とのコミュニケーションも生まれます。楽しかったという体験は、また次の体験に繋がって行きます。

とはいえ、活動の認知症予防効果を分析しなければプロの仕事とは言えません。宝石石けんの中にある認知症予防効果について考察していきましょう。

宝石石けんはわっこの皆さんにとって初めての体験になります。グリセリンソープの感触や固さ、溶けたりかたまったりするスピードなど初めて経験することがたくさんありました。こういった初めての体験は、脳細胞に新しいつながりを作ります。

脳細胞は細胞同士が手をつなぐようにつながりあってネットワークを作っています。この脳細胞のネットワークは弱くなったところをカバーする働きがあります。年齢を重ねると脳細胞は減っていきますが、あらかじめネットワークをたくさん作っておくと、死んでしまった細胞が担当していた場所を別のネットワークが補ってくれます。

脳細胞のネットワークをたくさん作っておくことは、認知症に対する抵抗力をつけておくことになるのです。

そして、宝石石けんをつくる時、どんな色に仕上げるのか考えながら、バランスよく配色していきます。出来上がった石けんのかたまりを割ってみて、出てきた色を活かすように切って行くという工程もあります。

物の形や色のバランスを考えながら形を作って行くことは、空間認知機能という、物や空間を感じ取る力を強化してくれます。この空間認知機能はアルツハイマー病では記憶力に次いで早くから衰えていきやすい機能になります。

こうやって楽しく認知機能を鍛えることが認知症予防に効果的です。できれば、わっこのような人が集まる場所で体験してください。+コミュニケーションという認知症予防効果が加わります。

毎回様々な活動を通じて認知症予防を実践している認知症予防サークルわっこは、医療法人重仁会大谷地病院に勤務している管理栄養士と認知症予防専門士が行っています。

毎週木曜日午後1:30~3:30まで、札幌市厚別区になる大谷地団地町内会館で実施しています。会費は500円で、申し込みや登録は必要ありません。年齢性別居住区域の制限もありません。関心のある方は是非、遊びに来て下さい。