大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

認知症予防サークルわっこで第8回ボッチャ大会を開催しました。

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ボッチャ大会に臨む認知症予防サークルわっこの皆さんの様子

令和元年5月23日、認知症予防サークルわっこでは「ボッチャ」を行いました。ボッチャは毎月行っているので、わっこの皆さんにとってはとてもおなじみの競技です。

先月のボッチャの様子はこちら↓
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風が強いのですが、晴れて暑いくらいの天気の中、13人の皆さんが集まってくださいました。中には地下鉄に乗ってきてくださっている方もいます。

ボッチャは1回あたり6球のボールを使うので、今回は5名と4名の3チームに分かれて行いました。

まずは準備体操から。
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チーム名を考えるのも脳トレです。今回のチーム名のお題は「漢字一文字」。松竹梅の「松」とこの季節らしい「春」「桜」チームとなりました。

白い的のボールに近い方が得点になります。作戦を考えながらどんどん投げていきます。フォームも決まっていますね。
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一球投げるごとに歓声があがり、大盛り上がりです。審判も厳しく判定していきましたよ。
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今回の大会では、赤・青どちらのボールも的からの距離が全く同じ!という現象が初めて起こりました。
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この場合、どちらのボールにも点数が与えられるそうです。

ラクルショット連発の接戦の末、今回は「松」チームの優勝でした。ヒーローインタビューでは「チームの皆さんのおかげです!」とチームワークの良さを披露してくださいました。
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ボッチャとは?

ボッチャとは
 ボッチャは、ヨーロッパで生まれた重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目です。

 ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。

 障害によりボールを投げることができなくても、勾配具(ランプ)を使い、自分の意思を介助者に伝えることができれば参加できます。

 競技は男女の区別のないクラスに別れて行われ、個人戦団体戦(2対2のペア戦と3対3のチーム戦)があります。

2020東京パラリンピックでも正式種目となっており、最近メディアにも取り上げられる機会が増えてきました。

カーリングとよく似た要素を持っていて、単にボールを投げ合うだけではなく、どこに投げると有利にゲームを進めることが出来るのかといった、戦略がとても大切になってくる競技です。

一発の投球が、大逆転に繋がることだってあります。

先を見越して手前にボールを置いておくと、敵チームがとても投げにくくなるという事もあります。
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投球が上達すると、自然と戦略の選択も増えていきます。とても奥深い競技です。

ボッチャの認知症予防効果とは?

ボッチャは頭と体を使うスポーツですから、認知症予防効果も抜群です。

まず、ボッチャを有利に進めるためにはボールを思う場所に思った通りの強さで投げる必要があります。脳で理想の投球をイメージし、身体に指令を伝え、指令通りにボールを投げる!ゲーム中、「よし!こうなったら青のボールに当てて吹っ飛ばしちゃえ!」「そんな思ったとこにボールが言ってくれたら苦労しないよ!」という会話が頻繁に起こり、上手くいっても行かなくても楽しい笑いが起こります。

身体をイメージ通りに動かすためには、脳と体のつながりがしっかりと成り立っている必要があります。体幹や足・腕の筋肉がしっかりついていないと、どんなに神経が筋肉や関節をコントロールしようとしても上手くいきません。思い通りのボールを投げるためには練習が必要です。上達には個人差がありますが、残念ながらまだわっこの皆さんはオリンピック選手並みとは言えません。

それが「上手くいかない!」という共感を生み、笑いが生まれるのかもしれません。

ボッチャは頭脳ゲームです。チームのメンバーと協力しながら、どこに投げたら有利にゲームを進められるのか相談しながらゲームを進めていきます。失敗しても、「大丈夫大丈夫!」と励ましたり、時には敵チームに「失敗してもいいよー」と妨害コメント(もちろん冗談で)を送ったり、コミュニケーションが必要です。

人間はもともと集団生活を送る事で自然界で生き残ってきた種族です。コミュニケーションをとる時には、とても活発に脳が働きます。

そして、何よりボッチャは楽しい!

「明日もボッチャやりたーい!」と参加者の方が叫んでしまうほど、ボッチャをやっている時間は笑いが絶えません。この「楽しい」と思う気持ちは脳を活性化させるだけではなく、免疫力を高めるなど人の身体によい影響をもたらします。「楽しい」と思う気持ち程人を元気にするものはないのかもしれません。

認知症予防サークルわっこでは、何があってもボッチャ大会は必ず実施する事にしています。

さて、ボッチャだけではなくいろいろな活動を通じて認知症予防をめざす認知症予防サークルわっこは、重仁会大谷地病院のスタッフが主催しています。栄養のスペシャリストの管理栄養士と、認知症予防専門士が行っています。

毎週木曜日午後1:30~午後3:30まで、札幌市厚別区にある大谷地団地町内会館で実施しています。申し込みは必要ありません。年齢性別、居住地域に関係なくどなたでも参加出来ます。参加費は500円です。お近くにお住いの方、是非一度遊びに来てください!