臨床美術プログラム「クリスマスツリーを描く」を行っているなつめの皆さんの様子
早いもので今年も残すところあと1か月となりました。12月最初の軽度認知機能障害回復プログラムなつめでは、恒例の臨床美術を行いました。
今回のテーマは「クリスマスツリーを描く」です。
このプログラムで出来た作品は飛び出す絵本のようになっています。
制作過程では平面ですが、仕立てると立体になり、ミニツリーのように飾ることが出来ます。
臨床美術はイメージを自由に表現するということを大切にしています。そのためにはまず、描くもののイメージ作りを行います。
クリスマスツリーはモミの木に飾りをつけたもの、ということをなんとなく知っているけれど、本物のモミの木をしっかりと見た事があるという方はいませんでした。
それもそのはず、日本では青森がモミの木の北限の様です。
今回は画像を見ながら、モミの木の大きさや形、雪で垂れ下がる枝を感じていきました。
このプログラムでは、色々な画材や道具を使って描いていきます。
前回「年賀状 雪」を描いたときは、雪のイメージがぼんやりとしていたのか、表現が抽象的だったからか、描き進める事をためらう方が多かったのですが、今回は皆さんどんどんと個性的なモミの木を描いていきました。
「木を描いて」といわれると、大体皆さん同じものを描きます。これは、「木」言う言葉を聞いてイメージする形が記号化しているからです。記号化したものを描くときは、理論的な働きが得意な左脳を使って書いています。左脳で描く記号化された絵を「デジタル画」というそうです。
でも、自分の中にあるイメージで描いていくと、どれ一つ同じ木は出来上がりません。
すごく大きな木、細い木、葉の色が明るい木、シックな木、幹のある木・・・。
イメージしたものを描いていくときは、右脳が活性化されています。右脳はイメージや、想像、ひらめきを司る脳です。視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感に関係しています。感情のコントロールもしています。物事に感動するのも右脳の働きです。
皆さんが右脳を駆使して医がいたモミの木がどんどんクリスマスツリーになっていきます。
雪を降らせ、飾りをつけて、臨床美術プログラムの魔法をかけていくと、素敵なツリーに仕上がりました。
一つ一つ、全ての作品の素晴らしいところ、制作途中で工夫していたところをお伝えします。
どれも個性的で素晴らしい作品ですね。作品を褒められること、制作過程の苦労や工夫を認められることは、自分自身を褒められ、認められたことに繋がっていきます。
「絵を描く」ということに苦手意識を持っている方はとても多いのですが、一人一人表現する世界に違いがあり、それぞれの世界に素晴らしさがあります。「絵を描く」ということは一部の「絵が上手」といわれる人の特権ではなく、誰でも絵を通じた自己表現を楽しむことができる。臨床美術はそのことを伝える芸術療法です。
臨床美術は認知症予防サークルわっこでも定期的に行っています。わっこはどなたでもご参加いただけます。大谷地病院のHPでわっこのスケジュールを確認できますので、ご興味のある方は是非遊びに来てください。