大谷地病院認知症疾患サポートセンター便り

大谷地病院認知症疾患サポートセンタの活動をご紹介します。

軽度認知機能障害回復プログラムなつめで臨床美術「朝日」を実施しました

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臨床美術「朝日」

今回の臨床美術プログラムは、高齢者向けシリーズの中の「朝日」というプログラムでした。

高齢者の皆さんには、これまでの人生の中で様々な「朝日」に出会ってきたはず。嬉しい事があった朝、希望に満ちた気持ちで迎えた朝、悲しくて泣きながら迎えた朝もあったかもしれません。

特に、北海道の冬は夜明けがとても遅く、早起きをしなくても朝焼けを見ることが出来ます。本州の皆さんよりも朝日は身近に感じているかもしれませんね。

そんな思い出の中の朝日を描いてもらうプログラムです。

臨床美術「朝日」を描いているなつめの皆さんの様子

今回のプログラムは黒い紙に朝日が作り出す色をのせていくだけで美しく作品が出来上がる「失敗しにくい」プログラム・・・、のはずでした。

いざ始めてみると、朝日のイメージが頭の中に出来上がっていない方や、空間認知機能が低下している方には画面の構成が分かりにくいなど、なかなか苦労を伴う制作となってしまいました。でも、苦労をしながらも作品を仕立ててみると、とても美しい朝日の風景が出来上がっていました。
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観賞会も回を重ねてくると、皆さんが作品の良さを見つけてくれます。

制作を始めたときに「失敗したかも」と思っていたところが、作品の持ち味になっていることもありますし、こだわって書き込んだところは作品の中で存在感を放ちます。

出来上がった時は「今日は上手くできなかった・・・。」と感じていた方も、遠目で改めて自分の作品を眺めてみると「結構うまく出来たかも。」という自信につながったように思います。

なつめでは月に一度臨床美術を行い、絵を通して認知機能を刺激しながら、表現の楽しさを味わっていただく時間を作っています。